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武 蔵 の 剣
--- 剣道二刀流の技と理論 ---
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7 倉 庫 (雑多な物置)
■ 剣 道 の 歌 ■ 昔から歌で伝えられてきた剣道の極意を集めてみました。
剣道は人間性の涵養
・ 古は術に留めし此の道を、広げて説けや人道として ・ 花咲けば、はや実になると思うなよ、絶えず吹き来る六つ欲の風 礼 ・ 剣道は静かに競ひ争はず、勝つも負けるも礼儀正しく ・ 上座をば高位の人に譲るべし、高位の人も礼儀正しく ・ 一人に礼を尽くして他を見ずば、あまたの人に無礼とぞなる ・ 兵法の用をば内に慎みて、礼儀二つに心乱すな 品位 ・ 剣道の品は心の持ち方で、自然に備はるものとこそ知れ 道場の神聖 ・ 道場に入るべき時は身をただし、心の鏡、曇り無きよう 自然体 ・ いろいろに姿勢態度も決まらずに、打たん心は禁物と知れ 無心 ・ 心こそ、心迷わす心なり、心に心、心許すな ・ 打つ人も打たるる人も、諸ともに、唯かりそめの夢の戯れ(宝山流) ・ 打ち迷いする太刀癖のある時は、己の心定まらぬから 修行 ・ 初めには素直に大きく技を持て、中はいろいろ、後は無駄なく ・ 倒されし竹は自然に立ち返り、倒せし雪は跡形もなし ・ ただ見れば、何の苦もなき水鳥の足に暇無き、我が思ひかな 術理一致 ・ 理と術は車の両輪にさも似たり、ひとつを欠いても進むことなし ・ 昔より、理を好めるは下手となる、初学は業よ、上達は理ぞ ・ 技・芸は、技を怠るその暇に、理のみ長じて下手となるなり(直心影流) 稽古 ・ 稽古とて勝負の心忘るるな、勝負は平素の稽古なるをば ・ 稽古をば勝負するぞと思ひなし、勝負は常に稽古なるべし ・ 不器用と、人は言ふとも稽古せよ、器用ばかりはいかであるべき(直心影流) 闘志 ・ 人替わり立ち替わりても打てや打て、竹刀の竹はささらなすとも ・ あくまでも、打って相手を打ち据えむ、したたか者と人は言うとも ・ 人は皆、器用不器用はあるけれど、不撓不屈の心忘るな 器用、上手 ・ 上手とは、外をそしらず自慢せず、身の及ばぬを恥ずる人なり ・ 好き・器用ありて稽古を励みなば、さながら鬼に金棒を得る ・ 不器用も器用もともに實有て、功がつもれば道を知るべし (二天一流) 不器用、下手 ・ 何事も好きこそ物の上手なれ、励め斯の道、好きになるまで ・ 初めからものの上手は無きものぞ、励め励めよ太刀打ちの術 ・ 不器用も稽古を常にたしなめば、器用の人を押して行くべし(直心影流) 呼吸 ・ 苦しさは己も人も同じなり、今一呼吸が油断大敵 掛け声 ・ 掛け声は敵の心を挫くまで、なるべく高く勇ましく 構え ・ いろいろに太刀の構えはあるけれど、先ず正眼の構え忘るな ・ いろいろと構えはあれど、正眼のほかに心を移すべからず ・ 身の構へ、心の構へ、気の構へ、人の備ふる備へ外すな 間合 ・ 振りかざす太刀の下こそ地獄なれ、一歩進め、先は極楽 ・ 竹刀をば長くせんより、歩を進め、伸びる剣先限りなきなり ・ 両刀に立ち向かいたるその時は、小太刀に心をうつすべからず 機会 ・ 機を得ずに先に出づれば、後の先を彼に取られる事多きなり 打ち込み稽古 ・ 打ち込みは、ふりに構わず数を打て、いつかは慣れて早業となる ・ 打ち込みをむやみやたらにする故は、手足の凝りを取るものと知れ 捨て身 ・ 山川の瀬々に流るる栃殻も、身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ ・ おのが身を勇気の槌で打ち砕け、これぞ誠の教えなりけり ・ 敵に我が皮を斬らして肉を斬り、肉を斬らしてその骨を斬れ 四戒 (驚、懼、疑、惑) ・ とやかくと思ふ心の疑ひに、勝をば敵にとられぬるかな ・ 学びぬる心にわざの迷ひてや、わざの心のまた迷ふらむ(ト伝百首) 気合い ・ 立ち向かう対手はいつも大敵と、思うて心、おそれひるまず ・ 突く術は、腕の力によらずして、腹に気合いを込めて突くべし 面わざ ・ 伸び面は打たるるものと覚悟して、打たれても行け、打たれても行け ・ さし面は斬れるものではないけれど、手のくつろぎを習うためなり 足さばき ・ 踏む足は、我が立ち歩むそのままに、右足前につま先で立て ・ あちこちに踏みたる足を直さねば、これぞ進まぬ始めなりけり 体さばき ・ 居ながらに胴を打つのは早けれど、多くは平になり易きもの ・ 打ってくる太刀を太刀にて受けずして、体をかわして避けならふべし 手の内 ・ とる太刀の握り調子は柔らかに、締めず緩めず小指離さず ・ 手の内の出来たる人のとる太刀は、心にかなう働きをする ・ 右を先、左を後にやんわりと、手拭い絞る心にて持て 切り返し ・ 切り返す太刀の早業目覚ましく、当たる傍ら敵なかりけり 体当たり ・ 二の腕と腰の定まるそれまでは、打ち込む度に体当たりせよ 目付 ・ 目付とは、瞳を見るぞ習いなる、ものの崩しは隠されもせず ・ 眼(まなこ)をば見ることのみと思うなよ、心に一つ、眼ありけり 相打ち ・ 切り結ぶ太刀の下こそ地獄なり、一歩踏み込め、後は極楽 ・ 切り結ぶ太刀の下こそ地獄なれ、たんだ踏み込め神妙の剱(柳生石舟斎) ・ 打ち合わす剱の下に迷ひなく、身を捨ててこそ生きる道あれ(山岡鉄舟) 先 ・ 先を打て、先を打たるな稽古にも、習いは常に習慣となる ・ 上段にとられし時は、身を捨てて、敵の心のととのはぬ先 工夫 ・ 稽古をば疑ふ程に工夫せよ、解きたる後が悟りなりけり ・ 立合の工夫作戦二三して、それを一応忘れるぞよき 懸待一致 (攻撃と防御) ・ 懸かるとも心に油断なかるべし、懸に待あり、待に懸あり ・ 心気力の一致で攻め、誘い、彼の動きの隙に乗るべし 虚実 ・ 実を避け虚に乗ずれば勝ちやすく、実と実との優劣も良し よい癖を学べ ・ よき技を教えられても、皆癖のつたないところを習う人かな ・ えて人は、皆癖々のあるものぞ、悪しきを捨てて善を学べよ 後の先 ・ 小手へ来る太刀をはずして振りかぶり、素早く面を打ち習うべし ・ 抜き面は、一歩退きつつ空打たせ、一歩踏み込み面を打つ技 見取り稽古 ・ それぞれに人の為す技違うなり、よく見て習へ人の為す技 調子 ・ 打つ技は手鞠拍子に倣う(ならう)べし、行くも戻るも一つ弾みに ・ 太刀先をむやみやたらに振る人は、のちには打ちを調子にて出す 平常心 ・ 晴れて良し、曇っても良し、富士の山、元の姿は変わらざりけり ・ 気は長く、心は丸く腹立てず、己は小さく人を大きく 大胆にして細心 ・ 妙の字は、少き(わかき)女の乱れ髪、云ふに云はれず、説く説かれず ・ 油断をば大敵なりと心得て、堅固に守れ、おのが心を 明鏡止水 ・ 写すとも月も思はず、写るとも水は思わねど、月ぞ宿れる(直心影流) 師 ・ 癖が出て弱くなりしを知らずして、同じ強さと思ふはかなさ ・ この道は上手ばかりが師ではなし、下手ありてまた上手ともなる ・ 師となれば弟子を活かすを旨とせよ、我が強さを示すべからず ・ 剣術修行は、初めはほぐし、中度は苦しめ、末に肝を練ること教ふるなり (一刀流聞書) 残心 ・ 残心は、勝って兜の緒を締めて、敵の根城を奪い取るまで ・ 対手をば、打ちたる時も心して、構え崩さず後に備えよ ・ 残心を残す心と迷わずに、打った気力をしばしそのまま 養生 ・ 教えをばよく守りて、養生をおろそかにせねば、術も至らず ・ 武士の酒を過ごすぞ不覚なる、無下に呑まぬもまた愚かなり 勝負 ・ 勝負する対手はいつも大敵と、思うて心引き締めて行け ・ 勝負とは、先ず勝つことをやめにして、負けじと思う心こそよき 形 ・ 法定(形)は、神の教えの道なれば、努めて励め、技の源 ・ 法定は、学ぶほど、なほ道遠し、命のあらむ限り努めよ 極意 ・ 極意とは、おのが睫(まつげ)のごとくにて、近くにあれど見つけざりけり ・ いたずらに高き理ばかり語りても、業に疎くば空しかるべし ・ 悟っても、理業の一致はなかなかに、理屈に過ぎて業は及ばず 誠 ・ 心だに誠の道にかなひなば、祈らずとも神や守らむ(神陰流) [上へ] |