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右手の力は気にしない

 息子の通う道場の中学生の父兄から、
「うちの子は構えや打突の時に右手に力が入りすぎるのでどうしたらよいか」
との相談を受けました。

 私は、
「構えたときや中心を取るときに右手に力が入ってしまうというのは、右利きの人なら誰でもそうです。気にする必要はありません」
と答えました。

 剣道の打ち込みは、構えたときには両手の力を軽く抜いておき、打ち込んだ瞬間に左右に5分5分の力を加えるのが理想です。でも右利きの人はどうしても打ったときに7分3分ぐらいで右手の力を多く使いがちになってしまうものですから、多くの指導者は右手の力を抜けと口を酸っぱくして教えます。

 ところが、この教えを鵜呑みにしてしまって、構えたときに右掌を開き気味にして柄から放し、殆ど左手だけで竹刀を支えているような構えをする人がいます。つまり構えたときの力の入り方が左手8分右手2分ぐらいになっているわけです。

 しかし、こういう人は、実は打ったときにはその反動で右手8分左手2分の力加減になり、ますます右手に力が入った打ちになることが多いようです。ですから構えたときに右手の力を抜こうと意識することは余り効果的でないと私は考えます。

 右手に力が入りすぎると言われる原因は、単に右手の力そのものよりも右手を働かせ過ぎることあると思います。言い換えれば左手が殆ど働いていないということです。

 そこで、左手を働かす訓練をします。

 右手は自分の正中線上で相手に向けて真っ直ぐ構え、右手一本で持っても竹刀が落ちない程度に握り、その位置に固定します。中心の取り合いをするときは、右手を固定したまま左手の操作によって剣先を動かし、振りかぶりや打ち込みの動作も左手で行うよう意識します。

 これは、一般的な「左手は正中線を外さずにへそ前に置く」とする教えとは全く正反対のように思えるでしょうが、初心者のうちは左手を固定してしまうとますます右手だけに頼るようになってしまいますので、意識を逆にすることによって矯正するわけです。

 左手を動かし過ぎると悪い癖がつきそうに思うかもしれませんが、右手を正しい位置に固定しておいて、剣先でしっかり中心を割り、真っ直ぐ振りかぶって真っ直ぐに打ち下ろしていれば、左手は自然に正しい位置に納まるようになります。

 左手の働かせ方を覚えてくると、右手は特に意識しなくても左手を助けて働くようになってきますから、やがて両手の効いた「構え、攻め、打ち」が出来るようになってきます。

 そうなったら、次には二刀に挑戦してみるのも良いでしょう。(^^)