[4]剣道のトレーニング

トレーニングの意義

 その運動の基本となるような筋力、持久力、機敏性、瞬発力・バランス・タイミングなどの要素を、科学的に鍛えてゆくことをトレーニングといいます。

 剣道の運動の中には、次のようないくつかの要素が考えられます。

  1、全身のバランス
  2、隙を見つけて打ち込んでゆくダッシュ力
  3、足や手足の柔軟性、
  4、機敏な動作を行う瞬発力 など

 これらの要素は、日頃の自分の稽古の中で自覚できます。そして、その要素を鍛えるために、素振り、片手素振り、握力強化、ジャンプ、ダッシュ、キックなどの基本動作を繰り返すわけです。

 トレーニングで考えておかなければならないことは、その目的は「弱い力を強くするため」であるということです。この基本原則を忘れて、むやみに過度になったり、たいして必要でない運動を強行したりするのはよくありません。

 それは「トレーニング」ではなく、しごきです。しごきは、スポーツそのものを否定することであり、人格を無視し踏みにじることです。トレーニングは「科学的に鍛える」ことなのです。

 なお、どんなトレーニングでも、続けてやること、少しづつ量を増やすこと自分に適したものであること、の三つが大切です。


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剣道に必要な運動能力

 剣道は、打つ、突く、かわす、跳ぶなどの基本的運動能力を中心とした緩と急の運動です。

 稽古の課程においても、運動量の激しいもので、特に動作中には他のスポーツと比べても多くの瞬発力を要求します。

 したがって、胸部、背部、大腿、下腿などを主体とした筋肉の発達を必要とし、それらの継続的な運動によって持久力を身につけなければなりません。

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準備運動と整理運動

 剣道のような激しい運動には、必ず準備運動を行わなければなりません。準備運動はまた、身体ばかりではなく心の準備も必要です。スポーツマンとしての精神力、意欲を起こすことも準備運動の一つです。

 しかし一方で、常在戦場を旨とする武道の世界にあっては、本来は稽古の場に来てからあわてて準備運動をするのも考えものです。

 朝起きたときや稽古に向かう前など、いつ何があっても対処できるように常日頃から前もって準備をして身体の調子を整えておく心構えも重要です。

 特に激しい闘志を燃やして稽古や試合に臨む必要のある剣道では、日頃から筋肉を柔軟にし、諸間接の可動性を高めておく心がけが大切です。

 剣道の準備運動としては、足の屈伸、跳躍、アキレス腱の伸張などを入念に行います。時間はせいぜい5分から10分以内で終わるように行うのが適切です。具体的には素振りの運動なども取り入れます。

 あまり長くなると精神的にもだらけるし、肉体的にも疲れるので、かえって効果がありません。現在では、ストレッチ法などが広く取り入れられています。

 また、終わったら必ず整理運動を行う必要があります。乱れた呼吸や荒だった血液の循環や、はりつめた神経系統などを調整し、正常に戻すのが整理運動の主な目的です。

 同時に、稽古や試合で乱れがちになった基本動作(竹刀の正しい握り方や正しい振り上げ、振り下ろし、足の運びなど)を元に戻し、正しい方法に立ち返らせるためにも必要です。

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剣道のストレッチング

 人間の筋肉は通常の生活をしているときも知らず知らずのうちにストレスを受けて過度な緊張状態になっています。そのような状態のままで急激な運動をすると怪我に繋がる場合があります。そこで運動前に意識的に筋肉の緊張を和らげ筋肉をリラックスさせることが必要です。

[首のストレッチ]
 剣道では面を装着して竹刀で打たせたり突きを受けたりしますので、首を支える筋肉にかかる負担は予想以上に大きいものです。前後、左右に、そしてゆっくり回すようにストレッチします。
   ・ネックストレッチ(前・後)、(右・左)
   ・ネックロール

[肩・腕のストレッチ]
 竹刀を振るための、肩から上腕部にかけての筋肉も十分にストレッチして下さい。立ったままでもできるスレッチですので日頃から気づいたときに行うようにすると故障が少なくなります。
   ・エルボープル(上腕)
   ・アームプル(肩後)
   ・リストプル(肩前)

[胸・背のストレッチ]
 竹刀を振りかぶって打突する剣道の稽古は、胸筋、背筋を非常に使います。呼吸を止めないように注意して行ないます。
   ・サンリーチ(胸)
   ・チェストストレッチ(背)

[体側のストレッチ]
 身体の側面の筋肉は、普段の生活であまり使うことがないので柔軟性に欠けることが多くなりがちです。無理に伸ばそうとすると腰を痛めることがありますので、筋肉が気持ちよく伸びているところで止めてその状態をキープします。
   ・サイドストレッチ(左・右)

[腹・腰のストレッチ]
 普段から身体を支えている腹や腰の筋肉は、気づかないうちにも負担がかかっています。腰を痛めないように床に座って、いたわる気持ちで入念にストレッチします。
   ・クロスオーバーツイスト(腹背)
   ・バックストレッチ(腰)
   ・チェストストレッチ(腹)
   ・クロスサイドストレッチ(脇腹)

[股のストレッチ]
 股関節が硬いと足さばきや打突時のバランスが悪くなります。腰を痛めないように注意しながら行います。
   ・ニーストラドル(内股)
   ・ニーストラドル(外股、左・右)

[足のストレッチ]
 足(大腿部)の前面と背面のストレッチです。剣道のうな瞬発力を必要とする運動には非常に重要な筋肉です。
   ・シット&リーチ(大腿部裏面)
   ・ニーベントクォード(大腿部前面)

[手首のストレッチ]
 剣道では竹刀を振る手首に大きな負担がかかります。簡単にできるストレッチですので暇を見つけたときに意識して行うようにすると良いでしょう。
   ・プッシュアップリスト
   ・フィンガーストレッチ
   ・フィンガーバック、

[足首のストレッチ]
 足首の特にアキレス腱は剣道でもっとも怪我をしやすい部位です。集中してストレッチを行なうようにしましょう。
   ・アンクルストレッチ(アキレス腱)
   ・アンクルストレッチ(足首前面)
   ・アンクルターン

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