[6]剣道の指導法

剣道の指導上の留意点

 剣道の指導に当たって最も留意すべき点として、全剣連では以下のようなことを挙げています。

  1,剣道というスポーツの本質をよく理解し、それに合致する指導を
   行うこと。

  2,自己の人格完成と剣道技術、および指導力の向上に常に心がける
   こと。

  3,指導の要領をよく研究し、組織的、体系的に指導すること。

  4,初心者には姿勢を正しく、十分に伸びのある打突を行わせ、変な
   癖がつかないように指導し、同時に興味を失わせないようにするこ
   と。

  5,上位の者には、理論に重点を置き、それに基づいた指導を行い、
   剣道の技の科学的にも優れた点を理解させること。

  6,日本剣道形を習熟させて、理合を理解させ、稽古にも十分活用で
   きるように指導すること。

 以上の点を心がけて、より効果的に指導するようにし、個々の年齢、体力、技能の理解など、それぞれの能力に応じて行うことはもちろんですが、まず剣道の目的と精神を十分に理解させることが重要だと思います。

 たとえば、「基本の構え」の中で、「自然体が必要なのはなぜか。またそれが剣道の活動の中でどのような効果があるか」とか、「日常生活にどんな関係と意味を持つか」などを説明して稽古を行うと、相手はいっそう興味を増し、効果を上げることができるでしょう。

 同時に稽古を行う環境の改善と保健衛生面についても十分に留意する必要があります。

 環境の改善は指導者の熱意にあると思いますが、指導目標、指導内容を明らかにして、みんなに知らせておくことは大切だと思います。これは大きな紙にでも書いて掲示しておくと良いと思います。

 保健の面では、室内競技の欠点ともいうべき換気に十分留意すべきです。また、全員の健康状態に注意して、無理なまたは過度な稽古を要求することのないようにしなければなりません。

 無理な稽古は、健康を害するばかりでなく、意欲を失わせてしまうので、特に適切な指導を工夫してゆかなければなりません。


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暑中稽古

 真夏の暑い盛りを選んで、ある一定の期間、連続して猛練習するのを「暑中稽古」といいます。身体的、精神的な稽古を積み、技術の向上を期して実施します。

 その中でも、特に技の向上に重点を置くのは、夏の期間は筋肉が柔らかく自由ですから、準備運動の量が比較的少なくて直ちに稽古に入れる利点が考えられるからです。

 もちろん、精神的にも、苦しさに耐えるという狙いを持つことは、寒中の「寒稽古」に似ています。苦しさの中に楽しさもあり、人それぞれの体験を得ることができます。

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寒稽古

 技の向上を図り、同時に精神の訓練を積むという点で「暑中稽古」と同じです。

 「寒稽古」は、早朝行われることが多いのですが、寒さ厳しい中で冷たい稽古着に着替えるというだけでも精神的には並大抵のことではなく、また、打たれたときの痛さは、春や夏・秋の季節の比ではありません。

 そういう意味では、特に精神を鍛えるという点で、特色があり、それが狙いでもあります。

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指導者の役目

 子供に剣道を習わせる親御さんの多くは、

  「正しい剣道を教えて欲しい」
  「強くなれる剣道を教えて欲しい」
  「しつけを厳しく教えて欲しい」

等の要望を持っています。

 これは、確かにもっともなことだと思います。

 正しい剣道で、強くて、しつけも行き届いた子供に育ってくれれば、こんなに良いことはありません。

 ただ、指導者にとって一番大切なことは、「とにかく剣道に興味を持って続けさせてあげる」ということではないかと思います。

 実は、「正しい剣道」ということも「剣道における強さ」ということも、日常生活における「剣道家としての正しいあり方」も、剣道に「興味」を持って続けて行きさえすれば、大人になったときに、それが「分かり」「身につく」ものだと思います。

 しかし、剣道にさほど興味を持たないままに惰性や強制で続けて行けば、そこで覚えることは「たたき合い」の技術ばかりで、しまいには興味を失ったままに止めてしまうことにもなりかねません。

 ですから、小学生の指導者ならば、小学生なりの剣道に対する興味を持って「剣道が好き」という気持を持たせて中学に上げてやるべきですし、中学生の指導者ならば、やはり中学生なりの興味を持たせて高校に送ってやるべきだと思います。

 もちろん、正しい剣道を教えることも、強い剣道を教えることも、しつけを厳しくすることも、興味を持って続けさせるために必要だと指導者が判断の上に行うのでしたら、それは大賛成です。

 しかし、どんなに正しく強い剣道を教えてくれても、そこで子供が剣道に興味を失って止めてしまえば、それは指導者としては失格なのではいでしょうか。

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